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「ポジティブによって変わる世界」を作りたい!Emotion Tech・CEO今西良光の起業ストーリー【CEOインタビュー #1】

Emotion Tech・CEO今西のインタビューをお届けします。

日立、ユニクロと大手企業を経験する中で感じたマネジメントへの課題。今は、その課題を解決すべく「感情の可視化」というテーマに挑み続けています。ここにたどり着くまでに何があったのか、そして、どんな世界を思い描いているか。たっぷりおうかがいしました。

意気揚々と転職した先でスタッフに泣かれる…マネジメントの難しさを目の当たりにした日々

ー起業までに日立、ユニクロと経験されていますよね。

新卒で日立に就職して、営業の中でも結構な体育会系の部署に配属されました。そこで大企業特有のマネジメントのあり方に対しての違和感を覚えたんです。10年、20年とキャリアを積んで、上にいってから会社を変えるよりは、早く自分自身でマネジメントをやってみたいと思いユニクロに転職。店舗マネージャーになりました。

ーマネジメントへの違和感というのは?

日立の中でもとりわけ伝統がある部署に配属されたので、新しいことを取り入れて積極的に改善していくというよりは、前例を踏襲することの方が善であるという考え方が強かった様に思います。時代背景が変わっていく中で、ずっと変わらない方が良い事もある反面、違うやり方や違う価値観を積極的に取り入れた方がうまくいくのではないかと感じることも多々ありました。

だから、ユニクロには今までにない「日本一の店舗を作るぞ」くらいの意気込みで入社したのですが、完全に店舗マネジメントの業務でいっぱいいっぱいになってしまい……。入社して3カ月目くらいにあったアルバイトの評価面談で、ある女性スタッフに泣かれてしまったんです。「今西さんは、私のことを全然見てれくれてない」と。

ー(泣かしたんですか…)衝撃的ですね。一体何があったのでしょう?

店舗マネージャーは、複数の業務を同時並行でこなさなければならないので、スタッフ一人ひとりがお客様に対してどう接しているか、どういう思いで毎日働いているかをずっと横につきながら見てあげられる余裕はありません。そんな中で、スタッフを評価するという仕事に初めて挑んだんですね。

当時のユニクロには、スタッフルームに入るときは全力の笑顔で大きな声で挨拶するというルールがありました。同時期に入社した2名のアルバイトスタッフのうち、1名はスタッフルームでも、いつも笑顔で元気でした。もう一人はその子に比べると少し元気がなかった。だから、会社のルールにあわせて元気な子の時給を10円アップ、もう一人は昇給しないという判断をしたんです。

―泣かれたのは昇給できなかったスタッフさん?

はい。そんなことがあったので、彼女の働きぶりをよく知っているスタッフを捕まえて、詳しく聞いてみました。そしたら、彼女の接客はとにかく素晴らしくて、その子目当てにわざわざ来てくれるお客様がいるほどだったんです。

ユニクロは、どの店舗でも同じ商品が買えるしレイアウトも基本は同じような感じで、高級ブランドのようにスタッフに固定客がつくというのは通常はあまりありません。その中で、その子に接客してほしいお客様がたくさんいるというのは、本当にすごいことなんですよね。

そんな”スタッフの鏡”みたいな彼女に、「スタッフルームでは元気がないから」という理由だけで判断してしまったんです。

ーそれは、確かに泣きたくなりますね。

その事実を知ったときは、僕も驚愕しました。絶対に自分はやらないと心に誓った「今までの風習や慣例に基づいて、本質を見ないマネジメント」を、気づかないうちにユニクロでやってしまっていたんですから。何のために転職してきたんだろうと思いましたね。

ー実際にマネジメントする立場になってみたら…難しいですね。業務も忙しいし、見る余裕ないんですもんね。

店舗マネージャーにも死ぬほど仕事はあって、正直な話、スタッフ全員の行動を見ててあげるのは不可能だと感じました。確かに、背中に目でも付いているのかと思うくらいよく見ているスペシャルな店長は存在しますが一握りです。「多くのマネージャーにとって一人ひとりを見るのが難しいのであれば、それ自体を変えないと店舗のサービスクオリティは上がらならないのではないか」と思うようになったんですね。

その他にも、サービス業の現場にある非効率とか負みたいなものを身を持って体験したことで「この課題を何とかしたい」という気持ちが大きくなり、ユニクロを辞め、起業準備をかねて早稲田のビジネススクールに入りました。

ーユニクロの社内で頑張って何かを変えるのではなく、起業しようと思われたのはなぜですか?

もちろん、在籍中に色々起案してトライはしましたけど、ユニクロも大企業ですからボトムから変えていく難しさは感じましたね。日立の時と同じで”続ける選択肢”もあったとは思いますが、やっぱり僕は人生設計的に、10年20年かけて会社を変えてやろうという気になれなくて(笑)。だったら、ギャップや課題を理解しているからこそできる仕組みを自分で作った方が早いんじゃないかと考えました。あと、自分が主導権を持って世の中に新しいものをつくりたいという漠然とした思いもあったので、起業を選んだんです。

ービジネススクール在学中に起業されたんですよね?

1年目が終わったタイミングです。師事していた教授から「起業したいんだね、君。なら、まずやってみなさい」と言われて。起業は知識ではないんだなとわかったので(笑)

ー「まずやってみなさい」とてもシンプルな教えですね。

シンプルだけど、超本質なんです。僕も大外ししていますが、机上のビジネスプランは100%外れると思います。少なくとも仮説通りになることなんてない。とりあえずやってみて、ダメだったら修正すればいい。とにかくトライの多さが大切なのではないでしょうか。

ビジネスコンテストで賞を獲るも売れない…今のプロダクトにたどり着くまで

ー起業当時から今のビジネスですか?

最初は、従業員同士でサンクスカードを送りあえるアプリを作りました。従業員同士で送ったカードのデータを蓄積しておけば、貢献度の高いスタッフを表彰したりもできます。更に裏側では、誰からもカードが送られていない、かつ、誰にもカードを送っていない孤立してしまっている人を見つけだす機能もついていました。

飲食などのアルバイトさんたちは、コミュニケーションが孤立してしまうことが離職の原因になるというデータもあったので、ケアが必要なスタッフを先回りで見つけて離職を防止するのが狙いです。

ただ、このビジネスプランは、ビジネスコンテストで賞もいただいたのですが、実際には全然売れませんでした。

ーなぜでしょう?

当時はまだ、社員の定着率や離職率を重要視している企業は、今ほど多くありませんでした。経営者の方々にも「従業員のコミュニケーションを可視化することに価値はあると思うけど、より収益に近いところでないと投資はできない」と明確に言われて。

一方で、いわゆるCS分野は注目されていたので、「このアプリを従業員向けではなくて、お客様がお店に対してカードを送ってくれる形に応用できないのか?」という声もいただいたんです。

ー従業員向けではなく、顧客向けにニーズがあったわけですね。

その頃、偶然NPS®の講演に参加して「アメリカでは顧客満足度を定量化して、それを収益に直結する形で点数化できる指標が流行っている」と聞いてピンときたんです。この指標を使って、お客様のフィードバックを点数化できる仕組みを作れたらいいんじゃないかと。

それで事業を大きくピボットして、今のサービスの基盤ともいえる「顧客体験マネジメントツール」に舵を切りました。

ー解決したい領域は、やはりサービス業なのでしょうか?ユニクロの体験が強烈だったからですか?

最初はそうでしたけど、今は概念が昇華されました。僕たちは「EX」といっているのですが、「エンプロイー・エクスペリエンス」と「カスタマー・エクスペリエンス」は片方だけではダメで、連動することで収益を生み出すと考えています。だからこそワンストップで改善していきたい。

サービス業は従業員が直接お客様に接客をする業態なので、”その人が組織に対してどう思っているか”と”お客様へのパフォーマンス”が連動するんです。その意味では、成果が見えやすい領域と言えますね。

「ポジティブによって変わる世界」を作りたい!コミュニケーションや感情を可視化した先に見えるもの

ー感情やコミュニケーションにこだわるのはなぜですか?

幼少期の体験がベースになっていると思います。

僕の母親がすごく厳しかったこともあって、幼少期から人の顔色をめちゃくちゃ見て育ってきました。「今この人こんな表情しているけど、こんなこと考えているな」と常に考えてしまうんです。だから、自分をさらけ出すのも、人の輪に溶け込むのも苦手。

ただ、こうやってずっと人の感情を気にして生きてきているので、これが見える化することの良さってあるだろうなとも考えていたんです。感情とか考えていることが可視化されて、そこから世の中が変わる世界を描いてみたいなって。

ーそれが根底にあると、ユニクロでの出来事は相当なショックですよね。

そうなんですよ。本当に、すごくショックだったんです。ずっと周りを気にしてきたし、人の思いや頑張りを汲み取れないマネジメントって微妙だなと思って辞めたのに、その僕がスタッフさんの頑張りを全く見れていなかった。その結果、「悔しくて泣く」という行為までさせてしまった。事実とし受け入れ難かったし、根が深い問題だなと強く印象に残っています。

ー育ってきた環境や色々な悔しい思いなどが集結して、コミュニケーションや感情を数値化するというアイデアにいきつくんですね。ところで、今西さん自身は人の感情を読み解くのは得意なのでしょうか?

顔の表情や行動からなんとなく予想をするのは得意というか好きなのですが、必ずしも当たらないです。というのも、僕の中に詰まっている”教師データ”は、僕の人生経験の中で出会ってきた人の分のデータでしかありません。圧倒的にNが少なすぎますよね。ここから類推したところで、まだまだです。

ーNが足りないw

自分が思っている以上に人には多様性があるし、様々な価値観を持っている人がいます。個人としても「人の感情を深掘っていきたい」という思いを持っていますが、僕一人ができる活動には限界がある。だからこそ、僕は”感情”のデータを莫大に集めて、そこから導き出せる答えを使って真実に迫るというプロセスにすごく興味があるんです。顔認証とかも組み合わせたらおもしろそうですよね。

今のEmotion Techのサービスは、NPS®という指標に基づいて、アンケートから感情データを収集しています。もちろん、そこでも価値あるものをつくれると思いますが、技術を組み合わせていけばもっと発展できるんじゃないかと。

ー少し話がズレますが、”感情の可視化”というのは、ある意味とても怖いと思うんです。ネガティブなものまで見えてしまうと…ねぇ。そのあたりはどう思いますか?

怖いと思うし、倫理観が必要ですよね。だからこそ、そういう世界になったときには「ポジティブ」というキーワードが重要だと考えています。あくまで、僕が作りたいのは「ポジティブによって変わる世界」なんです。

ーポジティブによって変わる世界?

誰かが何か”いいこと”をしたとしますよね。「あ、この人は信頼できる」と誰から見ても思えるようなこと。そうすると、NPS®でいうところの「その人をお勧めしたいですか?」という部分に、行動を受け取った相手や見えていた人たちがどんどん票を入れられる。

この仕組ができると、その人の行動の一つ一つが、信用データとしてストックできるようになる。これが新しい価値基準として貨幣経済に接続さえれたら…世の中変わりそうじゃないですか!

ーお、ちょっとイメージできた気がします!

企業の視点で考えると、例えば、あるできたばかりの中小企業で赤字だし、そんなに顧客も多くない企業があるとしますよね。でも、この企業の従業員のエンゲージメントスコアはすごく高くて、お客様からのフィードバックの点数もめちゃくちゃ高かったとしたら、金融機関はこの会社に融資をすべきなんです。なぜなら、この会社は従業員もお客様も良いと思っている”金の卵”のはずなので。つまり、財務諸表とは違う、信用や信頼を基準とした新しい評価軸ができるんです。そうすることで、企業のパワーが上がっていって、その先にいるお客様や従業員がハッピーになれる世界が作れるのではないかと思っています。

話が大きくなってしまったのですが、”感情”を起点にして、そこまでいけたらいいなって。

ーすごい!顧客や従業員という枠を飛び超えてますね!

Emotion Techの事業ドメインでは「企業を取り囲む全ての人」と規定をしています。つまり、企業の中にいる従業員もそうだし、企業の商品、サービス、ブランドに接するお客様も対象。企業を起点として、全人類に対してのインフラをイメージしているんです。

いかがでしたか?
第2弾では、”感情”は数値化できるのか?という素朴な疑問を今西さんにぶつけてみました。そちらもご期待ください。

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