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データを見ながらPDCAを回すのは危険?NewsPicks CTOが語る「事業成長のために必要な3つのこと」

「SPEEDA」「NewsPicks」「entrepedia」などの経済情報サービスを提供するユーザベースグループ(ニューズピックス、ジャパンベンチャーリサーチ)では、経営陣からメンバーにメッセージを伝えるための「みんなの会(Town Hall Meeting=THM)」を隔週で開催しています。
この記事ではユーザベースのカルチャーをお伝えするために、みんなの会の様子を書き起こしてレポートします。今回はNewsPicks CTO 杉浦正明(https://newspicks.com/user/102706)が語る、「事業成長のために必要な3つのこと」です。

事業成長のために必要な3つのこと

みなさん、おはようございます。杉浦です。

「みんなの会」は、経営メンバーがそれぞれ今一番大事だと思っていることを、ユーザベースで働くみんなに伝える会です。今、僕が一番伝えたいことは、「事業の成長のために必要なことは何か」です。

どうすれば事業を成長させられるのか、みなさんに伝えたいと思います。

NewsPicksで3年間プロダクト開発をしていて、それ以前もスタートアップの経営をしているのですが、うまく成長する時期とうまくいかない停滞期がありました。

最近入社された人は、NewsPicksの決算を見ると、ずっと一直線に右肩上がりで成長しているから凄いじゃんと思っているかもしれないのですが、実際の現場の感覚は右肩上がりではなく、ギザギザなんです。いつも山あり谷ありです。たまに上手くことがあるから、伸びていくと。

じゃあ何がその分かれ目なのか。上手くいくことの回数を増やせばもっと早く成長させられるのではないか。

僕自身、これまでの経験を整理、言語化できてきたので、それをみなさんに伝えたいと思います。みなさんにノウハウを伝えることで、上手くいく回数を少しでも増やしたい。成功確率を上げたい。それによってユーザベースの底力を上げたい、というのが今日の目的です。

「Think big」「Start small」「Scale fast」

最初に結論を言うと、事業を成長させるために必要な3つの事は 「Think big」「Start small」「Scale fast」です。

でっかく考えて、小さく打ち出して、ここだと思えば一気に拡大する。これだけです。この3つができていれば事業は成長します。

みなさん今、「そんなんわかっとるよ、できたらやってるねん」みたいな顔をしていますね。(笑

それぞれハマりどころがあって、この3つは頭でわかっていても簡単に実践できることではないです。なので注意すべきところを僕なりに伝えたいと思います。

まず「Think big」。大きく考えることが事業を始める第1歩です。

大きく考えられていない事業に成長はありえません。

スタートアップ業界にいるといろんな人がいろんなことを言っています。

例えば、リーンスタートアップを知っている方はいますか?

これは5年位前に本が出て、僕自身もセミナーにいって一時期かなり傾倒していたんですが、当時、みんなが流行病のように、ビルドメジャーラーン、ビルドメジャーラーンとこの3単語を繰り返していていました。


(ERIC RIESはそう言っているわけではないですが)とにかく素早く初めて、うまくいかなかったらピポットすることが正しいんだ、という誤解が広まり、みんな「Think big」せずに、まずはやってみようとしました。

素早くローンチすることは大事なんだけど、素早くローンチしてそのまま潰れてしまった事例を、たくさん見てきました。実際、僕もいくつか思いついたアイデアをもとにWebサービスを作りましたが、中途半端になって、ピボットという聞きざわりの良い言葉とともにエンドダウンしてしまいました。大きな構想が無い事業はまず成功しません。

大きければ、なんでもいいのか。これも違う。

「Think big」 することはホラを吹くことなのか。経営者の中には、とにかく大きな◯兆円企業を作ることが目標の人もいるのかもしれませんが、その目標の立て方も決して間違ってはいないと思いますが、僕の目指す姿とは違います。「Think big」する際に、何が勝負を分けるポイントなのか。

それは、「世直し度」だと考えています。

日本を今一度洗濯いたし申し候。

「日本を今一度洗濯いたし申し候。」

心の底から、この思いで仕事をしています。

世の中を良くしたいという思いがなければ、僕はやる気が出ません。志が無ければ一緒に働くメンバーも付いてきてくれないと考えています。

僕が何かチャレンジする時に1番重視していることが、「これは世直しになっているか」という点です。世直しさえ考えていれば、その後の成長はうまくいく。逆を言えば、世直しにならない事業は絶対にうまくいかない感覚を持っています。

ではどうすれば、世直しにつながる「Think big」ができるのか。

コツが2つあって、1つめは、現在と未来の差分をとることです。未来を予測し、未来のあるべきがおぼろげに見えたときに、現在そうなっていないとすると、現在と未来の差分が大きいものが世直し度が大きいと言えます。

例えば、NewsPicksのブランド広告事業を立ち上げる際は、このスライドのような考え方をしていました。当時、ネット広告の世界ではスマホメディアにもアドネットワークの導入が一巡し、広告単価が低下していました。

2年くらい前の話なので、フェイクニュース問題や、WELQ問題が起こっていないときでしたが、このままいけばネット広告、ネット上のコンテンツは安き、低きに流れることが予想できました。バズること、キャッチーであることが重要視されすぎて、本質的なユーザにとっての価値がないがしろにされるであろうと。

その時、僕に見えていた将来のあるべき姿は、ネット上からクリックを煽るうざい広告がなくなっている世界でした。広告であっても読み手に意味のあるものを作ろう。未来と現状の差分を埋めることが、そのまま僕らの戦略になりました。NewsPicksは単価の低いアドネットワーク広告は導入せず、短期的にはコストがかかるが、読み手に意味のあるブランド広告コンテンツを作り、高品質なコンテンツを量産して広めるためのCMPというコンテンツマネジメントシステムを開発しました。

2つめのコツとしては、いきなりでっかいことを考えるのは難しいので、小さいことから考えることです。

・帰宅時にはデスクの周りを出社した時よりも少しキレイにして帰ろう
・ソースコードをチェックアウトしたら、リファクタリングしてキレイにしてからコミットしよう
・NewsPicksに入社したからには、少し業績を良くしてから転職しよう(笑
・この世に生まれたからには、少し世の中を良くしてから死のう

と言ったように、前よりも良い状態にしようということを常に心がけ、そのサイズを少しずつ大きくしていくことができると、世直し度の大きいことを発想できるようになります。

小さく始めるのではなく、最初に尖らせてはじめる

次は「Start small」です。

「Think big」で大きな構想はできました。しかし、大きな構想はその大きさゆえに全て実現しようとすると何年もかかってしまいます。立ち上げ期は小さく始めないといけない。

Start small で陥りがちな罠は、本当にちっちゃく始めちゃう。図にすると、こうです。

でも、これは間違いです。正しいStart small はこうです。尖らせます。

小さく始めるのではなく、尖らせて始める。単純に小さく始めると、ただの小さいサービスになってしまいます。ただの小さいサービスをスタートしても世の中は何も変わりません。これには、気をつけないといけません。

さらに気をつけないといけないのは、ユーザヒアリングです。事業の立ち上げ時に多くの場合ユーザヒアリングをしますが、これは危険です。罠にはまらないよう注意が必要です。

Start small ではサービス・プロダクトをとにかく尖らせる必要があります。しかし、尖らせたサービスに対してユーザヒアリングすると、大多数のユーザは「よくわからない」と言います。尖ったサービスはその先鋭さが故に一般の利用者に理解されないのです。

「このサービスよく分からないね」と言われ続けると、自信が無くなって、調整を続け、段々と角が丸くなって、誰の心にも刺さらないプロダクトができてしまいます。Start smallでは自信をもって、とにかくコアターゲットを刺しに行くことが大切です。

イスラエルのことわざに、「If you change one person's life, you change the world. (1人の生活を変えられたら、世界は変わる)」というものがあります。

最初から全員にインパクトを与えなくてもいいんです。

とにかく1人の生活を変えることを意識してください。ユーザヒアリングして「分からない」と言われても大丈夫です。1人でも熱狂してくれる人がいれば問題ありません。

突き抜け、振り切ることが、事業の立ち上げ時には大切です。

ユーザヒアリングより、僕がおすすめするのは「行動観察」です。

いまNewsPicksでLivePicksというライブ動画という新機能を作っていますが、行動観察するためにユーザテストをしました。行動観察を行うことで作り手の「思い込み」を排除できます。

(※注:この発表はLivePicks開発期間中に行いました。LivePicksは7/3にリリースしています。 【本日22時開始】経済ニュース番組「LivePicks」が挑む7つのこと

LivePicksの開発時、当初はTOP画面で動画を再生させて、その後ライブ画面に入室してもらう導線を考えていました。

しかし、デモ画面をテストユーザに見せて、行動観察すると誰もライブ画面に入室しないんですよ。みんなTOP画面上で流れている動画を見て満足していました。どうして誰も入室しないのか考えた結果、わかったのが、TOP画面で動画を見れるならわざわざ入室するモチベーションがないからなんですね。当たり前ですね。

作り手としては、入室した方が楽しめると思っているので、みんな勝手に入室するだろうと考えているのですが、初めて訪れるユーザはそんなことはわからないのです。言われてみれば当たり前のことですが、その当たり前の思い込みは、行動観察をすることで初めてわかるのです。

(※注:画像は開発中のイメージです。)

行動観察すると、僕らが提供しようとしている価値がそもそも届いていないというような凡ミスを防ぐことができます。

「NewsPicksでライブ動画始めるけど、どう思う?」と聞くのはよくありません。これはユーザヒアリングになります。多くの人は「つまらなそう」と答えます。実際ヒアリングしましたが、そう答える人が多かったです。これはいま巷にあふれる経済動画ニュースがつまらないからです。みんなつまらない経済動画ニュースを想起するので、NewsPicksのライブ動画を体験する前から先入観でつまらないと考えてしまいます。

ユーザヒアリングと行動観察を理解して使い分けることが大事です。

「データを見ながらPDCAを回しましょう」は危険

最後に「Scale fast」。拡大フェーズは早く拡大するのがポイントです。当たり前ですね。みんな早く拡大したいけど、なかなか拡大できません。

なぜか?どうやったら素早く拡大できるか。

最大の罠が「データを見ながらPDCAを回しましょう」です。

ユーザベース内であなたのチームリーダーがこのセリフを言っていたら危険だと怪しんでください(笑)

データを見ながらPDCAを回すことは当然やるべきことで、みんなやっているので、勝負を分けるポイントにはなりません。奇跡が起こらない限りPDCAを回すだけでは非連続に成長できないと考えた方がよいです。普通のスピードで拡大するだけです。

「Think big」して「Start small」したならば、「Scale fast」では当初の大きな構想の実現を目指さないといけません。しかし、データ分析をしてPDCAを回しましょうと言った瞬間に、110%成長くらいで許される空気になってしまいます。これが「誤ったScale」です。

例えば、NewsPikcsの成長を考えてみましょう。NewsPicksの構想っていうのは大きくて、全てのビジネスパーソンに毎日使ってもらい、ビジネスに役立つ知識を得て交流する場を提供するというものです。

データを見ながらPDCAを回しましょうといった瞬間に、継続率が前月より1%上がればOK、DAUが前年比より増えていればOKみたいな雰囲気が出てしまいます。NewsPicksの目指すゴールはリニアに110%成長を続けていれば達成できるものではありません。

メンバーの目線を下げてしまってはいけないのです。

110%で急激な成長といえますか?

僕らが大企業なら110%成長でも大きな成長かもしれません。しかし、スタートアップの110%成長は死を意味します。スタートアップには、スタートアップが目指すべき成長速度があります。

次の図が正しい「Scale fast」です。

尖っている箇所を増やす。

この図と、NewsPicksの成長の歴史を重ね合わせてください。NewsPicksは、一見、突拍子もないことをやったときに急拡大してきました。

NewsPicksはリリース当初はニュースキュレーションアプリでした。データ分析をしてPDCAを回すことで成長はしていましたが、でもニュースキュレーションだけでは今みたいな規模には成長していかないなと思いました。

そういう局面で、みんなが反対するようなことをやって成長してきました。例えば、編集部によるオリジナルコンテンツ、プロピッカー制度、ブランド広告。最近ではアカデミア、ライブ動画(LivePicks)です。

オリジナルコンテンツはスタート当初は、コストもかかるし、なぜやるのかという意見が多かったです。プロピッカー制度も賛否がありました。

社内でも半分くらいの人が、やらないほうがいいんじゃないかということを実行してきました。

なぜやるのか。それは、質の良いコンテンツを届けたいという大きな「Think big」に対して、最適な手段だという確信があるからです。

オリジナルコンテンツを作ることで今までにない読み応えのある最先端の経済記事を届けることができる。プロピッカー制度を作ることで、専門家の生きたコメント・解説の量を増やせる。アカデミアを始めることで、ビジネスパーソンの交流の場、生涯学習の場を作ることができる。

「良いコンテンツを届けたい」この1点のゴールに向かって、一見非連続な戦略を取ったからこそ、非連続に成長できたのです。

僕らが目標にするのは今の数値の延長線ではありません。「Think big」した構想をどうすれば実現できるかを考えて実施していくことが大切です。

現状にとらわれない戦略を行う、これが「Scale fast」するときに重要なことだと思っています。

全員がThink bigするチームに

まとめです。事業を成長させるために必要なことは3つです。

でっかく考えて、小さく打ち出して、ここだと思えば一気に拡大する。

今日、伝えたいことの中で1番があるとすると、それは「Think big」です。

ユーザベースの非連続な成長のためには、ここにいる全員がThink bigできないといけません。社長や経営層だけが大きいことを考えていてはいけません。

メンバーがThink Bigできていないと何が起こるかというと、社長の言うことが突拍子なく聞こえて理解不能になります(笑)

メンバー全員が目指すべき志を共有し理解していないと、そのチームは「Scale fast」のための非連続な戦略は打てず、110%成長で満足するようになってしまいます。

メンバー全員が「Think big」して、大きな構想を理解、咀嚼する。一見、突拍子もないことも勇気を出してチャレンジする。これが僕が目指すユーザベースの姿です。ここにいるみんながThink Bigできれば、僕らは必ず成長することができます。

「みなさん、Think bigしましょう!」というのが今日一番伝えたい事でした。

ありがとうございました。


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